99%の社会人が正しく理解していない3年の根拠
今回のテーマはキャリアアップのスピードを早めるテクニックについてです。
- 3年経たずに転職して成功した人
- 3年経って転職しても上手くいかない人
その違いは一体どこにあるのか?を本質から考えることで仕事への取り組み方を見直すことができます。
この記事を読むことで、市場で評価される人材の条件が分かるだけでなく、市場価値の高いビジネススキルを体得するための具体的な行動手法を学ぶことができます。
私は経営企画部に所属している関係で、社内外の多くの人材と接してきました。
特に優秀なビジネスパーソンを多く見てきたので、どういうスキルが評価されているのかを知ることができました。
この記事の後半で紹介する具体的な行動手法は実際に私も実践してきて、効果を実感してきましたので、ぜひ皆様の気づきになればと思います。
この記事の結論
- 人材の価値は、選択肢・再現性・汎用性の3つで決まる
- 商売サイクルを1周回すのに1年、トライ&エラーに通常3年かかる
- 学習サイクルを早めれば、3年に捕らわれる必要はない
それでは、話を進めます。
なぜ3年なのか?に対する自論
まずは、結論から言うと、ある領域のビジネススキルを体得している人材は市場価値が高いからです。
そのスキルを身につけるために必要な期間が3年です。
なんて薄っぺらいことにはなりません。
ある領域におけるビジネススキルが高い人材が評価されることは間違えありません。
では、そのスキルが身についている状態とはどんな状態でしょうか。
それは『環境が変わっても対応できる』状態です。
人材価値が評価される3つのポイント
- 打ち手の選択肢がある
- 打ち手に再現性がある
- 打ち手が汎用可能である
という状態を指します。
そしてこの状態に至る目安が3年だということです。
つまり、この3つのポイントが備わっていることで環境適応力が高まるわけです。
それぞれ簡単にどのような状態かを説明します。
打ち手の選択肢がある
例えば私の小売業の経験を例に挙げてみます。
『商品が売れない』ことに対する打ち手は多岐にわたります。
それは商品が売れない理由が複数あるからです。
複数のシーズンの商売を経験することで、売れない理由とそれに対する打ち手の選択肢が増えてきました。
一例をあげてみます。
商品が売れない理由
- 価格設定と対象顧客の間にズレがある
- 商品展開位置が適切でない
- 展開の量や見せ方が商品にそぐわない
- 時期外れで需要がない
- 販売員がセールスポイントを伝えきれていない
打ち手の選択肢
- キャンペーン連動の割引訴求を実施する
- 小売価格を修正しPOPを付ける
- 見やすい位置に展開場所を変更する
- 商品特性に合わせてレイアウトを変更する
- 時期外れに買う顧客にターゲットを変更する
- 商品情報を販売員に共有・教育する
- 商品紹介訴求を実施する
これらを実際に実行していて、実体験を伴った引き出しがある状態をイメージしていただければ良いと思います。
トライアンドエラーの回数が少ないと課題に対する打ち手の引き出しが少なく、ノウハウと呼べるには少々不安が残ります。
打ち手に再現性がある
選択肢は引き出しの量の話です。
『打ち手の再現性』とは引き出しの質(クオリティ)の話になります。
PDCAを回すことで、失敗要因がある程度感覚的に分かっている状態かつ成功確率の高い打ち手を取ることができます。
知っているのとやれるのとではその引き出しの価値は大きく異なります。
二度と使えない引き出しには価値がないので、新天地でも使えるかどうかがここで言いたい本質の部分です。
打ち手が汎用可能である
再現性と似ていますが、ここではその価値ある引き出しがいつでもどこでも誰でも使えるかどうかということを指しています。
その人にしか使えない打ち手では会社としては単なるリスクです。
持続可能な組織を作るならば、その打ち手を会社の資産として継続的に利用できるようにする必要があります。
自分だけでなく他の人、チーム全員、組織全体が使いこなせる状態こそ汎用可能性です。
以上が人材価値の高い状態のイメージです。
では、なぜそれが『3年間』なのでしょうか?
学ぶ、試す、直すの体得サイクル
商売というのは需要と供給で成り立っていますが、どんな商売にも季節性や繁閑の波が存在します。
それは大抵の場合1年で1周するので、ひと通りの経験をして全体を捉えるには、そのサイクルを回す必要があります。
初回は、まず知ることから始まります。ノウハウを学ぶフェーズです。
2回目には、初回の経験を踏まえて実践に移します。1回目とは違う商環境も体感するはずです。視点を上げて視野を広げるフェーズです。
そして、3回目には2回目までの経験を踏まえてチューニングを行います。
ここでは複数シナリオを通して活用可能なノウハウに仕上がっているかどうかがポイントとなります。
このようにビジネスサイクルに合わせてひと通りの経験をして、その活動を通じて活用可能なノウハウを体得できたかどうか、が本質的な論点です。
それを分かりやすく『3年』と定義した、と私は考えています。
1年で体得できる人もいれば、5年かかる人もいますが、多くは3年見れば人材価値の判断が付くということだと思っています。
「3年働け」という考えは一切捨てろ
そういう理解をしているので私の考えからすれば、期間が問題ではありません。
つまり、本質的な要件を満たすことが市場価値向上においては重要だと思っています。
その要件を方程式にしました。
選択可能性 × 再現性 × 汎用性 = 人材の市場価値
先に述べたイメージをより具体的に価値判断の基準の視点から明文化してみたいと思います。
選択可能性
新しい環境においても適切な打ち手を講じることのできる十分な引き出しをどれだけ持っているか?
過去の経験から要素を抽出して、新しい課題に当てはめて考えられるのか?
課題を表面的な事象ではなく、本質的な構造理解まで深掘って、根本的な課題解決の打ち手を講じることができるか?
再現性
再び同様の、もしくはそれ以上の成果を出すことができるか?
偶然性の産物ではなく必然的かつ構造的なノウハウかどうか?
汎用性
異なる領域、フェーズ、規模においても一定の転用が可能かどうか?
外部与件に引きずられて成果物にばらつきが出ないか?
組織的に活用が可能で、持続性を考慮して行動できているか?
以上、この要件において質と量を双方に高めることができれば、3年という期間に縛られる必要はありません。
また、この要件は思考力と行動力の両面で必要になります。
倍速で経験を積むためのテクニック
では、その状態にまでノウハウを高めていくには、具体的にどうするのか?を説明したいと思います。
この体得サイクルを時短で回し、質と量ともにノウハウを蓄積するために、私が実践しているテクニックです。
倍速スキルアップ法の4要素
- インプット量を増やす(量)
- 実行サイクルを早める(量)
- ノウハウを抽象化する(質)
- スキルの完成度は70%(量)
インプット量を増やす(量)
自分ひとりの創意工夫だけだと視野が狭まり、打ち手に柔軟性が持てません。
そこで多角的な視点からの情報をなるべく多く取得することで、視野を広げて様々なケースに対応できるようになります。
インプット量を増やすテクニック
- 人からの情報
- 書籍、ネットからの情報
人からの情報
1つの課題に対して複数人の意見を集めることで、様々な視点から課題を見ることができます。
例えば、私の場合、他部署の同僚、上司、後輩、雇用形態の違う従業員、社外の知人、などの意見を拾ったりしています。
自分視点では決して気づかない切り口を発見できれば、たった1度の経験が5倍にも10倍にも内容の濃いものとなる実感があります。
書籍、ネットからの情報
意外と目の前の業務は自頭で考えて取り組むことができます。
営業もメール作成も社内プレゼンも別にわざわざ調べずともある程度のアウトプットが可能です。
ただ、自頭で考えたものが誰よりも高品質かどうかは別の話です。
私はなるべく1つ1つの作業を深堀することを心がけています。
つまり、わざわざ書籍やネットで『ノウハウ化』されたものがないか確認します。
例えば、メールのタイトル(表題)作成という1つの作業をノウハウと捉えてみます。
私が自頭でメールのタイトル欄を入力していた時は、『○○について』くらいでした。
ただ、、調べてみるときちんとノウハウ化されていて、それを知ってからタイトル作成を変えています。
『【依頼事項】○○の件(期日:○日○時迄)』という書き方を徹底しています。
依頼・報告・共有を明記して、更に依頼であれば期日を明記する。
メールの受けてがタイトルだけで自分が次に起こすべき行動が想起できる粒度で文章構成をすることで、コミュニケーションを効率化することができます。
このように、全ての所作・作業はすべてノウハウ化することができます。
世の中の情報にアクセスすることで、行動の1つ1つのクオリティを高めることができると私は考えています。
実行サイクルを早める(量)
とにかく実行することが需要です。
実践とは到底想定しえない事態が起きるものです。
いかに行動できたかで打ち手の質が決まります。
実行サイクルを早めるテクニック
- 小さく始める
- 不完全でも始める
小さく始める
とにかくスモールスタートを意識します。
やってみて初めて分かることの方が遥かに多いのは皆さんもご存知の通りかと思います。
つまり、準備・計画を最小限にする方法を考えることに徹して、いかに早く行動したかをまずは評価する価値観に変えていくことを強くお勧めします。
不完全でも始める
さらに不完全さを受け入れることにも同時に慣れていきたいです。
私の例でいえば、このブログサイトもそうです。
課題を上げればキリがありません。
- PVが上がる文章の書き方が分からない
- テーマ選びが分からない
- 最適なサーバって何?
- ニーズのある記事内容が分からない
- サイトデザインもやったことない
- HTMLってなんだ?
不完全過ぎるほどのど素人ですが、まずは解説して記事をアップしました。
数カ月勉強するよりも、やりながら勉強する方が圧倒的に成長が早いのは、不完全でも前に進む経験をしたことのある人は分かるかと思います。
ノウハウを抽象化する(質)
物事はほとんど共通の構造をしていると私は考えます。
例えば、BtoCビジネスもBtoBビジネスも売り手と買い手で成り立っていますし。
組織でいえば、大企業も零細企業も管理職と従業員で構成されています。
つまり、打ち手に対しても抽象化し構造的な判断ができているかが非常に重要になります。
街に散乱するごみを無くしたいなら、解決策はゴミ拾いではなくゴミ箱の設置ですよね。
もっと深刻ならゴミを持ち込むと報酬がもらえる場所を作るでもいいです。
これを抽象化すると『ポイ捨てする理由を無くす』『それ以上のメリットを与える』です。
抽象化することで、別の課題にも応用が可能です。
例えば、駐輪禁止エリアの違法駐車を無くしたいなら『停める理由を無くす』『停める以上のメリットを与える』打ち手を考えればいいわけです。
となれば、植栽を入れたり、道路にアートをペイントしたり、付近に駐輪スペースを新設したり、といった打ち手を講じることができるはずです。
スキルの完成度は70%(量)
そのスキルを完璧にする必要はありません。
職人の域まで極めようとしてしまいがちですが、完璧だから一番効果が出ているわけではありません。
ポイ捨ての例でも、ポイ捨てを全くの0にしようとすれば、かなりのコストがかかってきます。
少しのゴミは定期的にゴミを拾うという運用面でカバーができます。
ノウハウも同じで、1つを極めるなら2つを70%のクオリティにした方が生産性は上がります。
完璧なスキルを身に付けることが目的なのか、投資対効果を最大化することが目的なのかはきちんと心得ておく必要があります。
投資の世界に『頭と尻尾はくれてやれ』という格言があります。
利益丸々取ろうとすれば、そんな機会滅多にありませんし、リスクも高まってしまいます。
まとめ
最後にこの記事の要点をまとめます。
- 市場価値は選択可能性・再現性・汎用性の合わせ技
- インプット量を増やして引き出しを増やす(量)
- 実行サイクルを早めて経験値を増やす(量)
- ノウハウを抽象化してあらゆるビジネスに適応する(質)
- スキルの完成度は70%で実行量を増やす(量)
以上です。
それでは、また!