今回のテーマは、経営部門で働く際に必要なスキルセットについてです。
よりいっそう個の力が求められる時代に、サラリーマン的な働き方をしていては人材としての市場価値は下がる一方です。
ですから、この時代において経営スキルとは、経営者のためのものではなく、すべてのビジネスパーソンが持つべき必須スキルとなりつつあります。
この記事が参考になる読者
「経営部門に行くために何を学んだらいいか分からない」という相談を多く受けます。
- 経営部門を目指す人が事前に学ぶべきことを知りたい
- 優秀な役員や管理職になるための必要スキルを知りたい
- 実際に経営の現場で役に立つ知識やスキルを磨きたい
こうした方に向けて、現在、現役で経営部門担当をしている私の経験を元に、今から学ぶべき実践で大活躍するスキルについてお伝えします。
この記事で得られるもの
- キャリアアップに必要な経営スキルが何かを理解できる
- 今学ぶべき経営力を身に付けるために必要なスキルが何か分かる
経営スキルはビジネスにおける超汎用スキルです。
学び始めるタイミングに正解はありませんが、個人的には必要だと気付いたまさにその瞬間からまずは学習し始めてみることが一番なのかなと感じています。
この記事の結論
- 経営スキルは事業全体を管理するためのスキル
- 特にファイナンススキルは必要不可欠なスキル
それでは、進めていきます。
学んでおくべき経営スキル7選
経営スキルは守備範囲が広く、また明確な定義もありません。
私が実務において重要だと実感しているものを厳選する形で、実践的な臨場感をお伝えできればと思います。
そのため、前提としては、私の経営部門での業務内容が今回の情報の根拠となりますので、まずは簡単にご説明をします。
私の業務は、企業買収、ベンチャー投資、出資先の経営支援、グループ会社の経営支援、新規事業開発、構造改革プロジェクト、アライアンス業務、経営戦略立案、組織横断プロジェクト、など経営コンサルや事業推進系がメインです。
一方で、社内規程や社内制度を変更したり、年間の予算管理をするような経験はありません。
学ぶべき経営スキル7選
- 組織戦略スキル
- 経営戦略スキル
- ファイナンススキル
- プロジェクト管理スキル
- マーケティングスキル
- 制度設計スキル
- 事業計画策定スキル
一つずつスキルの内容と根拠について説明します。
①組織戦略スキル
経営戦略を実行するためには、人を動かすことが不可欠です。
従業員数が大きくなればなるほど、組織の在り方によって事業がうまく行くかどうかが左右されます。
私は1万人を超える大企業に所属していますが、ここまで大きいと個人個人に目を配り動かすことは不可能です。
人が動く仕組みこそが組織戦略なわけで、ここを知っておくとおかないとでは成果は変わります。
組織論、組織設計、組織戦略、組織マネジメントなどのキーワードで検索をかけてみることをお勧めします。
勉強していくと意思決定プロセスや人事制度、チームマネジメントといった領域まで議論は広がります。
やりつくせない領域ですが、学習のポイントは「なぜ組織が機能するのか、なぜしないのか?」という視点で見ることです。
②経営戦略スキル
人の上に立つということは、やることやらないことを決める責任を持つことですから、戦略を描けない人間は中間管理職止まりでしょう。
経営部門は、経営課題と向き合うことが非常に多いですから、どういった戦略を取るべきか?という問いを常に持ちながら仕事と向き合うことになります。
戦略立案には、大きく2つ学習の切り口があって、ひとつはマクロ環境の情報です。
他社事例やテクノロジー、市場の最新情報など、常に自社がどのような環境に晒されているのか?を把握しておく必要があります。
例えば、スタートアップが持つ新しいビジネスモデルや経営戦略を知ることで、効果的な要素を自社に吸収することができます。
もうひとつは、戦略立案のフレームワークです。
3C分析やSWOT分析が有名なフレームワークですが、他にもたくさんフレームワークがあります。
フレームワークは正しく使えば非常に強力な武器になります。
経営課題と向き合う際には、考えるきっかけをくれるので、かなり重宝しています。
③ファイナンススキル
経営スキル=ファイナンススキルと言っても過言ではないくらい重要なスキルです。
ビジネスとは、どこからお金を調達して、何に使って、どのくらい手元に残るのか?の繰り返しなわけです。
全ての事柄は、つまるところお金の話に集約されます。
財務諸表が読めることはもちろんのこと、コーポレートファイナンスや企業ファイナンスと呼ばれる投資領域の知識もあるとビジネスを見る目が格段にアップします。
他のスキルよりも体系化されているので、学びやすいですし、どの業界でもファイナンスは普遍的なものだと思っているので、費用対効果の高い学びになることを保証します。
④プロジェクト管理スキル
経営の役割は会社の目標を達成することにあります。
事業を進めていくと既存の組織では対応できないことが山ほど出てきます。
例えば、新しい事業を作るとなった時を想像してもらいたいんですが、今の組織というのは既存事業のために作られた組織ですから、誰も新規事業の成長のために働こうとしません。
となれば、新規事業のための組織や環境を整えることは経営でやるしかありません。
社長直下の組織を作ったり、組織横断でメンバーをアサインしてプロジェクトを組成したりします。
更に踏み込んで、プロジェクトを推進するためにチームをマネジメントするケースも多いので、プロジェクトマネジメントスキルはかなり重要なスキルだと考えています。
⑤マーケティングスキル
ファイナンスを実務に近い領域まで落としていくと必然的にマーケティングを勉強することになります。
どの顧客にどれくらいの頻度で商品・サービスを利用してもらうのか?を計画に落とし込みながら、重要な評価指標を元にビジネスジャッジを下していきます。
マーケティングというとバナー広告を配信したり、ブログ記事を書くことまで裾野が広く語られていますが、マーケティングの本質は売上をどのように達成するか?を数値で語ることですから、それを念頭に置きながら学ぶことをお勧めします。
マーケティングを学んでいくと、消費者行動心理学や統計学、SNS運用、広告最適化アルゴリズムなど派生で学ぶことが増えてきます。
ここは時間との相談になりますが、経営としてやるべきは、会社として設定したマーケティング指標を正しく管理するところにありますから、個々の手法論などまで手を出さなくても個人的には良いかなと思っています。
やはり大切なのは、経営部門はマーケティングが得意な人を連れてくることが役割で、顧客を適切なアプローチで連れてくるところはマーケティング担当の責務だという意識だと考えています。
⑥制度設計スキル
これは経営システムとも言い換えられますが、経営に必要な様々な機能をどのように連動させるのか?といったかなり難易度の高いスキルです。
経営にはさまざまな機能が存在します。
人事制度、予算制度、組織、システム、物流、労務、マーケティング、営業などなどです。
これらを経営戦略を遂行するために、一つ一つ機能不全を起こさないようにチューニングしていくわけです。
例えば、事業のデジタル領域を強化する戦略を遂行するためには、若くてデジタルに強い人材の起用が不可欠です。
にもかかわらず、昇格制度が年功序列だったり、マーケティング部門に行けるのは現場で10年以上営業を経験した人だけという制約があったりすれば、経営戦略は絵に描いた餅となります。
このように制度設計は、経営の機能を戦略を軸にして全体最適化させていく重要な作業だと考えます。
⑦事業計画策定スキル
経営戦略をより実践的な計画書に落とし込むことで初めて、各部署がアクションプランを作ることができるようになります。
例えば、売上を達成するために本年度はどのくらい顧客を増やす必要があるのか。
これから数年間に及びどこにどのくらいの投資をすべきなのか。
こうした追うべき数値ややるべきアクションが分かるようにP/LとKPIの要素を混ぜ合わせた事業計画書を作れるかどうかは、主体的に経営に参加する上では必要不可欠となります。
こちらは、事業計画書の作り方についてまとめた記事を近々書こうと思います。
どこから手を付けるべきか
「こんなにあったら、何からやればいいのか分からない」と感じると思います。
私も実際そうで、あれこれ手を出しだいぶ遠回りをした気がしています。
そんな私の実体験も踏まえて、もし今私が独学1年目に戻ったとしたら何から手を付けるか?という視点でお伝えします。
まず初めに手を付けるべきは、ファイナンス
まず、その根拠ですが、ファイナンスは経営業務の全てに絡むからです。
人事も結局は人件費の使い方ですし、新規プロジェクトだっていくらかけていくら利益ができるのか?に集約されます。
つまり、経営業務の全てはファイナンスに始まりファイナンスで終わります。
また、自分が独学してきた中で、ファイナンスの視点で整理することで他の領域の知識がより深く定着したということもあります。
つまり、経営戦略も組織も制度設計も経営に関するすべての活動は、広義の意味で財務(ファイナンス)目標達成のための手段だと私は感じています。
ファイナンスをどうやって学ぶのが効率的か?という具体的な独学のやり方については、詳しくまとめているこちらの記事を参考にしてみてください。

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まとめ
- 経営スキルは事業全体を管理するためのスキル
- 特にファイナンススキルは必要不可欠なスキル
それでは、また