経営/ビジネス

ディズニー直営ホテルが爆増しているワケ|ホテル事業の貢献度が凄い

ディズニーホテルから学ぶ経営手法

これからの時代に最も収益性を高める経営手法

他企業の成功例から汎用的な経営手法を実践的に解説していきます。

私は大手小売企業で企業投資や経営管理を主戦場にキャリアを積んできました。

その中で過去100社以上のビジネスモデルに触れてきて経営力の重要性に気づきました。

この記事では、経営視点で事業を見る目を養うことができます。

経営手法は汎用性が高く業種業界問わずあらゆるビジネスに応用が可能です。

ぜひ経営力を一つのスキルと捉え、優先的に学んでいってほしいと思います。

今回は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドからバンドリングという経営手法を学んでいきたいと思います。

バンドリングとは、関連する商品やサービスを2つ以上掛け合わせて販売する経営手法のことを指します。
ここでは、パークとホテルという2つのサービスのバンドリングについて深堀りしたいと思います。

この記事の結論

  • 関連性の高い商品/サービスのセット売りは高効率で収益が上がる
  • 周辺事業はメイン事業への送客、満足度向上に大きく貢献する
  • 人口減の市場では、客単価を上げるバンドリング経営は得策である

 

さっそくバンドリング視点でホテル事業を見ていきましょう。

ホテル事業はハイリスク?!

オリエンタルランドはミリアルリゾートホテルズという子会社を通じてディズニー直営ホテルを4つ運営しています。

  • ディズニーランドホテル
  • ディズニーシーホテルミラコスタ
  • ディズニーアンバサダーホテル
  • ディズニーセレブレーションホテル

更に現在、トイ・ストーリーがコンセプトのホテルとディズニーシーパーク一体型ホテルの2つの直営ホテルを開発しています

しかし、開業当初のオリエンタルランドは、ホテル事業に関しては他企業と提携する手法(アライアンス戦略と言います)を取っていました。

現在も舞浜には東京ディズニーリゾート・オフィシャルホテルとして、他企業のホテルが軒を連ねています。

ヒルトンやオークラ、シェラトングループなどがそれに当たります。

ホテル事業というのは、土地建物含めた固定費が嵩む上、繁閑に応じて稼働率が増減するため、収益性と安定性が低いビジネスモデルになりがちです。

そのため、開業当初に自社運営という選択は経営上ハイリスクだと考えたのでしょう。

直営ホテルが着々と増えているワケ

2000年開業のアンバサダーホテルに始まり、2023年には現在開発中のホテルを含めて合計6つになります。

なぜ、オリエンタルランドはホテル事業にここまでの投資を続けているのでしょうか?

それこそがバンドリングの効果にあります。

ホテル事業への投資には本来複数の理由があります。

例えば、事業フェーズを切り分ける経営管理手法です。

まずはパーク事業への投資を優先し、売上や財務基盤が安定した段階で周辺事業を拡大させる。

そんな経営戦略の考え方などもありますが、ここでは割愛しバンドリング効果に焦点を当てたいと思います。

オリエンタルランドの場合、売上を上げるには客単価、客数いづれかのレバーを引く必要があります。

客数の中にはリピート利用も含まれます。

そして、リピート回数を引き上げるのは通常かなり難しいです。

今回のホテルの場合は客単価でしょう。

1回の滞在で宿泊をセットにすることで、食事の回数は2日分になりますし、グッズ購入意欲も向上します。

IR資料では公表されていませんが、宿泊ゲストのロイヤリティは通常ゲストよりも高いはずです。

これこそがバンドリングの効果です。

実はホテル事業がパーク事業よりも高収益

IR資料を見てみると、パーク事業とホテル事業の売上比率は85:15とパーク事業に比べるとホテル事業はまだまだ小規模です。

しかしながら、パーク事業の営業利益率が24%なのに対してホテル事業の営業利益率は25%となっており高収益事業というのが分かります。

しかし、この財務諸表の数値に対して高収益と言っているわけではありません。

つまり、財務諸表上では読み取れない収益効果があるということです。

結論から言います。

①パークの売上が上がる
②集客のコスト効率が上がる
③パークのゲスト収容効率が上がる

ホテル事業はパーク事業への貢献度がものすごく高いのです。

①パークの売上が上がる

ゲスト視点で考えると、ディズニーリゾートにわざわざ宿泊するコストまで追加で払うわけです。

通常来園よりもパークを楽しみたいと考えますよね(サンクコスト効果と言います)。

宿泊によって物理的にもパークでの滞在時間が増えるため消費量もそれに比例して上がります。

食事は持ち込みで食べていた人も宿泊となればパーク内で食べることを選択するでしょう。

 

②集客コスト効率が上がる

宿泊をすれば2日分のパークチケットを購入することになります。

これは2人のゲストを来園させるために支払うコストに比べるとかなり低く抑えられます。

新規顧客の獲得コストよりも既存顧客のリピートコストの方が低くなるのと同様に、セット売りによる客単価向上はこのように費用対効果(ROIと言ったりします)も向上します。

 

③パークのゲスト収容効率が上がる

収容効率はリテールだとよく使う考え方ですが、オリエンタルランドも意図しているのでしょうか。

商業施設などは消費者の行動パターンが似ているので、時間帯ごとに混雑するフロアが変わります。

一番分かりやすいのはお昼時で飲食店が混み合います。

テーマパークもこれと同様に開園後、徐々に混み始めて、ランチとディナータイムにはレストランが行列となり閉園前にはお土産屋が混み合います。

こうなると混んでいるところと空いているところが出てしまうので限られた空間に収容できる人数は非効率となってしまいます。

この視点で見ると、宿泊ゲストと通常ゲストの行動パターンは違ってきます。

これによって同じ収容人数でも各アトラクションやレストランの時間帯ごとの混雑が和らぐため、顧客満足度が向上するとともに収容キャパシティも向上します。

今後も直営ホテルが増えると思うワケ

マクロ環境を読み解くことでオリエンタルランドの直営ホテルに対する経営意図が見えてきます。

IR資料を見ると、インバウンド(訪日外国人)の来園者が増加傾向にあり、直近2019年度では、売上に占めるインバウンドの比率が10%となりました。

リテールのノウハウから言えば、売上比率10%を超えると、その顧客群に対しての商品展開(つまり品揃え)をする必要があると考えます。

オリエンタルランドの場合、インバウンド=長期滞在者となりますから、ホテルをセット販売することが必然となります。

国内消費はどうかといいますと、これはお分かりの通り人口減です。

首都圏人口は政府の統計調査によると2050年まで高止まり(東京は増加傾向)とありますが、日本全体を見ればやはりマーケットは縮小トレンドです。

つまり、人口減少に逆行して来園者数を増やそうとすれば、かなりのコストをかけないと獲得できませんから、収益性は悪化します。

そこで必要なのが客単価です。

オリエンタルランドの場合は、リピート率×滞在時間×購入額を経営の重要指標に置くのが適切だと私は考えます。

実際に直営ホテルは、客数レバーではなく客単価レバー領域のバンドリングです。

人口減少傾向を見越した適切な経営判断だと推察します。

そもそもディズニーはバンドリング王国

これでバンドリング効果について理解いただけたかと思います。

思い返してみれば、パーク内のレストランもお土産もバンドリングですよね。

アトラクションやショーを目的に来園下ゲストに対して関連商品を販売しているわけですから食事とギフトは抱き合わせ商品でしょう。

さらには、映画やオフィシャルクレジットカードもバンドリングと捉えることができます。

根源的には映画のバンドリングとしてテーマパークがあるのでしょう。

ゲストのパーク前、パーク内、パーク後の行動をデザインすることで、まだまだバンドリングできる商品やサービスが生まれてくるかもしれません。

まとめ

最後にこの記事の要点をまとめます。

要点まとめ
  • 関連商品・サービスをセット売りすることで客単価が向上する
  • 相互送客効果によって積算的に売り上げが向上する
  • 市場トレンドから見てもロイヤリティを上げるバンドリングが効果的
  • 体験のストーリーを作ることがバンドリング効果を最大化させる

バンドリングはうまく活用すれば相乗効果を最大化することができます。

しかし、関連する領域の中で事業を拡大していくことになりますから、逆を言えばメイン事業が落ち込むと関連事業も連鎖的に悪化します。

負のスパイラルに落ちるのもまた相乗効果というわけです。

更に視点を上げて、経営の収益ポートフォリオを正しく構築してグループ事業が総倒れになることを避けたうえで、バンドリングするしないを判断していく必要があると考えます。

最も最悪なバンドリングは既存事業が斜陽産業あるいは業績悪化トレンドも関わらず新規事業を関連サービスとしてしまうことです。

負のスパイラルにバンドリングで油を注ぐだけになってします。

経営手法は汎用性が高く業種業界問わず応用が可能ですが、まずは経営状態を正しく捉えた上で活用することを念押ししておきます。

それでは、また!!

 

 

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