今回のテーマは、経営部門でのキャリアの将来性についてです。
経営部門のキャリアに将来性はあるのか?という相談をよくいただきます。
現場からだと経営部門は未知の仕事で、なかなかイメージが付きにくいようです。
この記事では、現役の経営部門担当の私が実体験を踏まえて経営部門キャリアの将来性についてまとめました。
※経営部門の仕事内容が知りたい方はこちらの記事をチェック!

※現在すでに経営企画の仕事をしていて自分のキャリアに悩んでいる方は、自分の市場価値を知る方法をこちらの記事でまとめています。

この記事が参考になる読者
- 将来、経営部門で働きたいと思っているビジネスパーソン
- 経営に興味がある、あるいは経営を独学で学びたいと思っている方
- 起業や転職を含めてキャリアに悩んでいる方
私は、入社4年目に経営企画室に異動し、そこから5年間に渡り経営業務を担当しています。
具体的には、企業買収、ベンチャー投資、新規事業開発、事業構造改革、グループ会社の経営支援、社長案件、アライアンス業務など、経営に直接関わる案件を担当しています。
私もはじめは経営スキルが全くない状態からスタートしました。
ただこれまでのキャリアで人材としての市場価値や将来性が見えてきたので、そのリアルな情報を共有したいと思います。
この記事を読むことで、経営部門でのキャリアの将来性が分かるだけでなく、狭き門と言われている経営部門に異動するためにやるべきことが分かります。
この記事の結論
- 経営部門でのキャリアの未来は明るい
- キャリアが業種業界に縛られない
- キャリアに年齢制限がない
- 選べる役職の幅が広い
それでは、進めていきます。
経営部門担当の将来性
経営部門の担当の将来性は明るいわけですが、なぜそうなるのか?という要因を深掘っていきたいと思います。
なぜ経営部門担当のキャリアは将来性があるのか?
- 経営力は汎用性の高いビジネススキル
- 時流はプロフェッショナルよりジェネラリスト
- 経営は定年がない職種
経営力は汎用性の高いビジネススキル
経営の仕事は『組織・人を動かす』ことです。
目的を定めて、達成に向けたシナリオに沿って組織を動かすわけですが、その手段として営業、マーケティング、人事、法務、財務、システムなど様々な機能を組み合わせていきます。
つまり、仕組みを作ることが本来業務なので、そのノウハウは他企業でも通用することが多いです。
経営業のプロの稲盛和夫さんも京セラ、KDDI、JALなど業界を横断してご活躍しています。
ビジネスそのものを組み立て運用するノウハウ、これこそが経営力というわけです。
すべての機能を管理するということは説明変数が無数にあって正解のない決断の連続ですから、当然人工知能やロボット自動化にも取って代わられることは難しいでしょう。
むしろ、会社の機能としてどの職種を自動化するのか?や戦略的に優遇するのか?などを決める側なわけです。
時流はプロフェッショナルよりジェネラリスト
メディアでも最近トレンドになりつつあるジョブ型人材、所謂プロフェッショナル路線ですが、これは企業目線の一戦略にすぎません。
環境変化が読めない市場において、1つのことを極めるリスクはどう見るのでしょうか。
企業目線で言えば、ジョブ型雇用をすることで仕事に対して人を割り当てることができるので無駄を排除できるわけです。
その仕事がいらなくなれば、また別の必要な仕事に人を割り当てるわけです。
プロフェッショナルというのは、そうしたリスクに晒されながら高需要な期間は大きく儲けることができますが、環境変化は自分でコントロールできないため、持続可能性が乏しいように感じます。
経営とはジェネラリストに近いと考えています。
もちろん経営者にも専門分野があって、営業出身、マーケティング出身、などはありますが、経営管理領域はそれ自体が技術です。
営業やマーケティングを何十年も経験していなくても経営はできます。
実際、世の中で活躍している経営のプロは、まさに『経営』で食べているわけです。
現場経験があることに越したことはありませんが、経営とはそれ自体が技術なわけで、それはあらゆる業種を管理するジェネラルなノウハウだという事です。
経営は定年がない職種
70歳のおじいちゃんが営業部長だとか、マーケティング部長ということはあまり聞いたことがありません。
ほとんどの職種は定年というものがあります。
しかし、経営は違います。
80歳を超えても経営や社外取締役、特別顧問などのポジションに就くことができる稀な職種なわけです。
ロングテールで活躍できるポジションが用意されているというのは紛れもない将来性ではないでしょうか。
キャリアの選択肢
将来性があるということだけでなく、具体的にどんなキャリアで将来性があるのか?について深掘りしていきたいと思います。
経営部門担当のキャリアの選択肢
- 経営企画部門
- コンサルティングファーム
- 新規事業開発
- ベンチャー企業コーポレート担当
- 役員
- 顧問
- 社外取締役
経営企画部門
どんな会社にも経営を司る部門は存在します。
ビジネスの仕組み作りは業界に縛られることなく発揮できるスキルです。
更には大企業から中小、ベンチャー、と事業フェーズの異なる転職なども最近は増えてきています。
コンサルティングファーム
予算管理や規程類の作成だけだと難しいですが、経営戦略や経営システム、ファイナンスなどの領域を経験している経営企画担当であれば、コンサルタントへの道もあります。
私自身、ある転職エージェントからコンサルのオファーを受けたことがあります。
新規事業開発
新規事業では、サービスが先に走り事業体としての骨格や仕組みが追いつかないケースが多く見られます。
経営とは、事業の持続可能性を最大化するための仕組みづくり、ビジネス運営だと言いましたが、そのノウハウはまさに新規事業開発には欠かせないものになります。
もちろん成熟事業と新規事業とでは経営方針や戦略はまるで違いますが、エッセンスは同じですので、勉強をすることで事業フェーズに即した経営はできるようになります。
ベンチャー企業コーポレート担当
これも新規事業開発と同じく事業拡大期にある組織の経営管理業務は、持続的な成長をサポートする骨格となるため、経営力が必要とされる領域になります。
大企業での経営管理と大きく異なるところは、守備範囲が非常に広いことです。
人事も広報も労務も法務も担当することはザラにあります。
しかし本質は、儲けるための仕組み作りですから、比較的すぐに適応できるはずです。
役員
もちろんキャリアップをすることで役員ポストに就くことがあります。
ここまで来ると、ヘッドハンティングも日常的にありますし、職を失うことはほぼ無くなるといっていいでしょう。
顧問
特定の業界での経営経験は非常に有益なものですから、役員だけでなく顧問契約というキャリアも広がっています。
経営ボードメンバーに対して、自らの経験に基づいた経営アドバイザリーを行うわけです。
社外取締役
顧問より更に経営にコミットする立場では社外取締役というポストもあります。
よくあるのが、金融出身者が事業会社の社外取締役に就任して事業会社が不足しているファイナンス視点で経営をサポートするなどです。
私の実体験
経営部門での経験をここまで評価しているのは私自身の経験が根っこにあります。
私は入社3年目までは現場で店舗マネジメントやプライベートブランドの商品開発を担当していました。
その時に転職エージェントから紹介されたキャリアは非常に狭いもので、ほとんどが同業種同職種、しかも年収も一般的なものばかりです。
入社4年目に経営戦略本部に異動することになり、そこから3年、経営支援業務や企業買収、新規事業開発などを担当したわけですが、その時に転職エージェントから提示された選択肢は見違えるものでした。
更には、知人の紹介などから直接のヘッドハントのオファーもあったりと、経営キャリアの可能性を感じたわけです。
身に付く経営スキル
別記事でまとめてはいますので、こちらでは一覧に留めておきますが、経営スキルとは具体的にどんなものを指すのか?のイメージになればと思います。
経営力のスキルセット
- 組織戦略スキル
- 経営戦略スキル
- ファイナンススキル
- プロジェクト管理スキル
- マーケティングスキル
- 制度設計スキル
- 事業計画策定スキル
経営企画部門に異動する方法
会社にもよりますが、個人でできることは全てやることが前提だと思います。
ここでは、個人でできることをまとめています。
個人で出来る具体的な方法
- 人事にアピール
- 独学で経営力を身に付ける
- 実績を出し続ける
人事にアピール
大企業であればあるほど、人事は社員一人ひとりを見ることは難しくなります。
つまり、こちらからアピールをしなければ、異動希望はなかなか通りません。
会社によっては異動希望シートを書く機会があるかと思いますが、それだけでは不十分でしょう。
個人でできる活動に限定しておすすめなのは、①人事部に知り合いを作り、②実績やキャリアビジョンを発信する、です。
私もこれを入社一年目から定期的に実践して、印象付けをしていきました。
独学で経営力を身に付ける
ベースの知識を蓄えておくことは必ずやるべきです。
経営業務は多岐に渡りますが、まずはファイナンススキルを高めることをおすすめします。
ファイナンスは業種業界問わず比較的体系化された知識になるので始めやすいだけでなく、経営力の絶対条件となるスキルです。
具体的に学び方を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

実績を出し続ける
根性論で締めくくりたくはありませんが、どうしてもこれを除外することはできません。
というのも、経営部門の要員数は多くありません。
会社全体のかじ取りをする部門なので異動したい人をすぐに送り込める部門ではないのが実態です。
つまり、人事が異動希望を通すための言い訳づくりをしてあげる必要があって、それは実績しかありません。
とはいえ「足元の仕事をひたすら頑張れ」と言うつもりはありません。
ただ実績を出すわけではなく、経営視点を取り入れて足元の活動をしてほしいと考えています。
経営視点というのがあまりピンとこないかもしれませんが、これは経営の独学をやることで自然と身に付いてきますから、心配いりません。
人事にアピール、経営の独学、実績を出す、この3つを継続していると、段々と経営視点の意味や経営力とは何かが見えてきます。
大切なことは意識と行動です。
経営力は意識をしないと学ぶことも気づくこともできませんので、是非とも自ら経営を学ぶ姿勢を維持し続けてほしいと思います。
まとめ
- 経営部門でのキャリアの未来は明るい
- キャリアが業種業界に縛られない
- キャリアに年齢制限がない
- 選べる役職の幅が広い
それでは、また!