今回のテーマは、会議の生産性を最大化する議事録の活用術についてです。
勤務時間に占める会議の割合は非常に高く、労働生産性向上には欠かせない業務です。
ある統計データでは、1000人規模の会社で年間に無駄にしている会議が、約80万時間あるということが分かっています。
つまり、人件費計算で約15億円ほどが無駄な業務に使われているということになります。
とてつもない損失ですよね。
この記事が参考になる読者
「会議をより効率的に運営して業務の推進力を高めたい」と考えている人は非常に多いと感じています。
- 会議で議論したことの認識がズレている
- 会議をしたけどその後の行動にうまく繋がらない
- 推進力を上げるための会議の活用方法が分からない
この記事では、こういった悩みを持つ方に向けて実践的なテクニックをまとめています。
この記事で得られるもの
この記事を読むことで、
- 会議の生産性を上げる議事録の書き方が身に付く
- 議事録を活用した効果的なマネジメントのコツが分かる
ネットで議事録についての記事は多く見られますが、どの情報も実践で活用できそうな具体的な手法論まで記載されているものは非常に少ないと感じています。
この記事では、私が経営部門でプロジェクトを推進する中で年間100個以上の会議をファシリテートしてきた経験から改善を重ねてきた実践内容をまとめています。
実際に私が使用しているテンプレートも公開していますので、会議運営にお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
この記事の結論
- 議事録は案件を前に進めるための実行書
- 合意したことと今後のアクションの記載が重要
- 議事録それ自体を関係者と確認し合意する
それでは、進めていきます。
生産性が上がる議事録の書き方
さっそく結論にはなりますが、議事録はただ発言を一言一句書き起こすものという認識を捨てていただきたいと思います。
議事録の目的を、案件をより前に進めるための実行書という認識に変えてほしいとおもいます。
つまり、議事録に書くべき項目は、会議後に案件を前に進めるために不可欠な情報だということです。
議事録に必要な項目
- 参加者名
- 議題
- 合意事項
- 今後のアクション
- 実行期限
- 主要な発言
一つずつ説明していきますが、重要なことは案件を進めるためには、会議で何が決まって、これから何をやるのか?という視点が不可欠であるという意識を持つことです。
会議をすることがゴールではないので、議事録も過去(会議)をまとめたものではなく、未来に向けて書かれるべきものだということです。
参加者名
これは会議で合意された事実を知っている人を会議後に特定するために議事録に記載します。
案件を進めていて、担当者が変わったり、そもそも合意内容に認識齟齬があった場合、会議の議事録に立ち戻って事実を確認する必要があります。
参加者名はそういった案件を進めるための事実確認に重要な項目です。
ボイスレコーダーで会話内容を残すだけでは、発言していないが合意形成の過程を見た参加者の存在が分かりませんから、誰が参加していたのか?を残しておくことが有効になります。
議題
当たり前ですが、そもそも何について話合ったのか?合意したのか?が分からないと話になりません。
でも、以外とこれが会議の投影資料には書いてあるのに、議事録には書かれていないことって多いんです。
発言内容はすべて議題に帰着しますから、議題は議事録には必要不可欠な項目です。
合意事項
議題ごとに何が決まったのか?を残しておくことが最も記載されるべき情報です。
発言内容だけが記載されて結局、誰と誰が何を合意したのか?が不明確なケースは多いです。
必ず、誰がYesと言ったのか?誰がNoと言ったのか?その理由は何なのか?を明示しましょう。
今後のアクション
合意事項に対して、ネクストステップが必ずありますよね。
例えば、次回会議で再度議論するとか、取締役会で最終決裁を仰ぐとか、他部署へ情報共有するとか。
合意というのは、何かを進めるために行う通過点ですから、合意によって生まれた今後のアクションをセットで記載します。
一番多いミスは、依頼をして「私がやっておく」と合意をもらったのに、ふたを開けてみたらやっていなかったというミスです。
合意形成が為されたことで、誰かが行動を起こすことが決まったわけですから、こちらも必要不可欠な項目というわけです。
実行期限
今後のアクションとセットで記載します。
議事録に関わらずアクションと期限はセットで語らなければ、いつまで経っても前に進みません。
進捗状況を正しく評価し、修正や改善を適切なタイミングで加えるためには予め実行期限を見積もっておく必要があります。
主要な発言
上記の情報をサポートする形で、初めて発言内容の書き起こしが存在します。
最近では、録音を共有することも容易ですから、一言一句書き起こす必要性は薄れていますし、何度も言うように重要なことは案件を前に進めることですから、そのために必要のない発言は書き起こす必要はありません。
『主要な』とあえて表現しているのはそういった意味を含めたかったからです。
以上。
基本的にこの情報を記載して参加者や関係者と共有をしておけば、会議後に合意内容が捻じ曲げられたり、合意したのに実行に結び付かなかったということはなくなります。
議事録作成のコツ
議事録の効果的な書き方が理解できたら、次は作成する上でのコツを併せて知っていただくとより実践しやすくなると思います。
ポイントは議事録作成の考え方を理解し、重要なポイントを把握することだと思います。
作成の考え方
- 議事録は、単なる発言内容の書き起こしではない
- 議事録は、アクションプランの一部である
そのためのポイント
- 5W1Hを意識して記載する
- 議事録それ自体を関係者と確認して合意しておく
作成の考え方
アクションプランとしての機能を持たせるわけですから、会議後に何か迷ったり、認識の齟齬が生じた際に立ち戻れるものでないといけません。
何を記載すべきかを迷った際には、この考え方に立ち戻っていただき、議事録が案件推進のサポートに寄与するかどうかで判断していきましょう。
そのためのポイント
考え方を理解した上で、より実践的な手法論をお伝えすると、私の場合は、5W1Hを意識しています。
例えば、合意事項に関しては、誰が合意したのか?あるいはどのような流れ(議論の中の重要な発言)で合意に至ったのか?を書いています。
案件を推進する上で、頻発するのは「それって誰が認識してるの?」とか「役員・部門長は許可してるの?」といったコンセンサスの部分なので5W1Hを意識しているというわけです。
今後のアクションについても、誰がいつまでに何をどのようにどのくらいやるのか?ということを記載しておくことで認識の齟齬がなくなります。
これに加えて、やはり重要なポイントは関係者と議事録を共有し合意しておくことです。
繰り返しになりますが、議事録は今後の実行書ですから、合意した人やアクションをする人に対して「これで行きますよ、いいですね?」と念押しをして、「分かりました」と言ってもらうことが重要です。
作成した議事録を関係者に展開して、認識の齟齬や不足情報がないかどうかを確認してもらうことは非常に有効です。
私の場合は当日、遅くても翌日には議事録を展開して確認してもらっています。
人はすぐに忘れる生き物ですから、会議後なるべく早くの確認作業が大切です。
【無料】実践フォーマット公開
以上が会議の生産性を上げる議事録の活用術です。
ただ、文面だけではなかなかイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思います。
そこで私が実際に実務で使っているスライドを無料で公開することにしました。
私自身、経営会議からプロジェクト会議、チーム会議とあらゆる会議体を運用してきて、実務の中でブラッシュアップを重ねた結果、このテンプレートになっていますので、かなり有益な実践資料ではないかと思っています。
ネットに上がっている記事を見てみましたが、実用的なテンプレートはほとんど見当たりませんでした。
このテンプレートも私の経験に基づくものなので、業種業界によってはアレンジが必要かもしれません。
ぜひご自身の使いやすい形にカスタマイズしていただければと思います。
会議運営の実践テクニック
会議運営は議事録だけでなく、そもそもの会議の質を高めるための事前準備とアジェンダ活用も重要なノウハウになります。
その分野についても詳しくまとめていますので、ぜひ併せてお読みください。


まとめ
- 議事録は案件を前に進めるための実行書
- 合意したことと今後のアクションの記載が重要
- 議事録それ自体を関係者と確認し合意する
それでは、また!