今回のテーマは努力せずに成長速度を早める実践的な仕事術についてです。
時間には限りがあるので、なるべく最短で成果に結び付けたいところです。
努力はあくまでも手段ですから、時間とお金をかけずに成長できるならそれもまた1つの手段として実践に取り入れるべきだと思います。
この記事では、私の実体験を元に失敗を重ねて見えてきた効果的なスキルアップ手法を解説します。
この記事が参考になる読者
- 能力不足を感じていて確実にスキルアップしたい
- いくら頑張っても成長スピードが上がらない
- もっと効率的に短時間で成果を出したい
少し私の話になりますが、ベンチャー投資(CVC)の担当になった時、新会社かつ新規事業だったために、社内にはその業務の経験者がひとりも居ませんでした。
つまり「独学」という選択肢しかない中で1年間で成果を出さなければならない状況です。
そんな限られた時間の中で経験値を積み上げてスキルアップをしないといけず、私なりに試行錯誤をした結果、今回紹介する手法にたどり着きました。
今ではこの手法をフル活用して継続的に成果も出ているので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
この記事の結論
- 『人に聞く』を使いこなす
- 他人の経験を自分の経験にすり替える
- 『聞き方』と『情報と情報の繋ぎ方』がポイント
それでは、話を進めます。
効率的に経験値を積むスキルアップのやり方
結論から言うと、努力せずに経験値を積むテクニックとは『とことん人に聞く』ということです。
スキルは実際に自らが行動し経験することで身に付くものですが、自分が行動できる量には限度があります。
そこで他人の経験値を自分に移すことができれば、それは1から自分が行動するよりもはるかに短時間で仮想経験をしたようなものです。
もちろんテクニック論なので「ただ聞く」ではマズくて、そこ少々の創意工夫が必要です。
また「人に聞く」をテクニックと呼ぶ根拠もあります。
「人に聞く」がテクニックと呼ぶに値する理由
①「人に聞く」絶対量が少ない
②聞き方に創意工夫がない
①「人に聞く」絶対量が少ない
これは特に社歴が長くなるほどに出来なくなっているように感じます。(要らぬプライドでしょうか。。)
また、多くの人は、社外人材との交流が少ないので「聞ける人の数」がとても少なく、物理的にやれていません。
そもそも「人に聞く」機会が1日の中でどのくらいあるでしょうか。
直接話を聞く以外にもSNSやネットを活用すればいくらでも聞くことはできますが、そうしていないのが現状だと思います。
私の場合、少しでも疑問があれば、「人に聞く」を必ず実践しています。
②聞き方に創意工夫がない
ただ、話を聞けば他人の経験が自分の経験になるなんてことはありません。
自分の実体験ではない他人の情報を、実践で活用可能なノウハウに変換して吸収するひと手間を加える必要があります。
ここがまさに「人に聞く」テクニックだと思います。
ここを更に深掘りして具体的な3つのステップと3つのコツという形でまとめました。
「人に聞く」3つのステップ
まずは全体の流れとそれぞれのポイントを解説します。
3つのステップは、情報を比較し、対立させ、紐付ける
- 複数の人に同じ質問をする
- 反対意見の情報を集める
- 自分のいづれかの経験と関連付ける
Step.1 複数の人に同じ質問をする
ほとんどの人は誰か1人に話を聞いて終わりではないでしょうか。
もちろん話を聞きたいと思ったということはその人を信用しているからにほかならないわけですが、その情報を信用しすぎるのは賢明ではありません。
必ず複数人に意見を求めて、その回答を横比較します。
そうすることで多角的に情報を見極めることができるようになります。
Step.2 反対意見の情報を集める
情報収集では残念ながらバイアスがかかってしまうことが多いです。
つまり、自分に都合の良い情報を探しに向かう習性が人間にはあります。
そのため、必ず得られた情報の反対意見も集めるようにします。
例えば、「戦略 必要性」について情報を集めていると、『戦略は必要だ』という文脈の情報が集まってきてしまいがちです。
そこで「戦略 不要」「戦略 デメリット」という反対意見が集まるような情報収集を心がけるわけです。
すると戦略不要論を唱えている人のロジックや体験談をインプットすることができます。
Step.3 自分のいづれかの経験と関連付ける
他人の経験を自分の経験に置き換えるためには、必ず『情報の自分ごと化』が必要です。
過去の自分の体験や知識と紐づけてイメージを具体化することであたかも経験したような状態に持っていきます。
私のベンチャー投資での話
イメージしにくいと思うので、私の話を少し例に挙げてみます。
当時、投資先の経営を支援することになったのですが、経験がなかったため知り合いの経営者やコンサルタントに聞きまわったことがあります。
簡潔に言うと「経営支援で一番やった方が良いことなんですか?」と10人近くに問いました。
それで、出てきた回答が、
- 経営戦略の書き直し
- KPI設計
- 人事評価の見直し
こういう感じのものでした。
なので、それぞれに対して今度は反対意見を収集しに動きました。
例えば「経営戦略の書き直しは触らない方がいいですか?」「KPI設計は不要ですか?」って感じです。
で、結論としてはこんな感じでまとまりました。
経営戦略は経営陣がコミットするための契約書みたいなものだから経営陣が主体的に描き切った方が良い。
もし支援するなら意見出しやまとめのファシリテーションに留めておいた方が良い。
一方で、KPI設計と人事評価の見直しについては戦術に近いので整理して上げると喜ばれる。
支援した方が良いことだけを鵜呑みにすると戦略立案まで口出すことになっていたでしょう。
もちろん正解はありませんが、イメージとしてはこんな感じで情報を集めて判断すると良いです。
ここまでだと自分の経験とはならなくて、ただの理解に留まってしまいます。
ですから、過去の自分の経験と今回の情報とを紐づけてイメージする必要があります。
私は過去にプライベートブランドの商品開発を担当していたので、その経験と紐づけました。
商品をどうやって売るか?を決めたら、生産数、接客数、成約数、販売数の計画に落とし込みます。
最後に、その目標値をマネージャーや販売員の成果評価に落として販売活動に入る、といった流れでした。
まさに今回の経営支援と似たプロセスなわけですので、その時の経験と摺合せてイメージすることで、今回の経験がある意味ですでに経験しているものになるわけです。
これをやらずに行動する場合と、一度シミュレーションしてから行動する場合とでは、その後の定着度はかなり違ってきます。
これに加えて、情報には色が付いていて、だれが言ったことなのか?によって意味合いは変わってきます。
そのため、情報の引き出し方についてもまたコツがありますので、紹介します。
「人に聞く」3つのコツ
3つのコツは、情報のストーリーに焦点を当てる
- 意見の根拠
- 成功体験の環境
- 失敗の経験
①意見の根拠
相手の意見をいただく時に、「なぜそう思うのか?」をセットに必ず聞きます。
なぜなら、その情報が経験則によるものなのか、を確認するためです。
「わたしは、こう思うよ」という意見の出処が、「本で読んだ」とか「人から聞いた」ものだったら信ぴょう性はかなり薄いと思いませんか?
なので、必ず意見の出処を探って情報の信ぴょう性を評価することをお勧めします。
②成功体験の環境
さらに体験に基づく意見・情報だったとしても注意を払うと更に良いです。
成功した体験もどういった環境でのことなのか?が重要です。
誰でも成功できるような超追い風環境での経験は非常に薄っぺらいことがあります。
例えば、「イケイケの会社で営業マンしてました!」だと、その営業マンのスキルが高かったのか、売れる商材や会社のブランドが良かったのか分からないですよね。
つまり、その情報の出処が経験から来るものでも、その経験を取り巻く環境まで注意深くヒアリングすることで、情報の信ぴょう性は上がります。
③失敗の経験
これが聞ければ、満点だと思います。
意見の信ぴょう性は、その人の経験の深みから来るものです。
成功体験だけでなく失敗した数と反省の量とも相関が強いと私は考えています。
ですから、失敗経験も含めた意見をもらうことで、実践的な情報が集められるはずです。
以上のことを意識して、情報を集めることで自分が行動せずとも他人の体験をある程度リアリティある形で実体験に近づけることができると考えています。
もちろん人の経験を集めるだけでは全く意味がなくて、前提として自分自身が常に行動していることが重要です。
そこに、他人の経験が相乗効果として乗っかってくるわけです。
ただ、努力だけが成長の手段ではないということ、そして、成長に工夫を入れることで、時間をかけずに成果を出すことが可能だという事を知っていただければと思います。
まとめ
- 努力は手段に過ぎない。工夫1つで「人の経験」も自分の経験にできる
- 情報は複数人から収集し、反対意見も含めて比較して信ぴょう性を評価する
- 自分の知識や経験と重ね合わせて、具体的に経験のイメージを持つ
- 情報の根拠まで深く聞き取ることで信ぴょう性が上がる
それでは、また!