経営/ビジネス

自社の『強み分析』が根本的に間違っている件|正しい分析の考え方とは?

強み分析の落とし穴

経営資源が強みになるか弱みになるかは事業環境次第

この記事では、社会人なら一度は経験のある「自社の強みと弱み分析」について正しく理解することができます。

私は大手小売で経営管理、企業投資、新規事業開発を担当しており、これまで100社以上の経営戦略に触れてきました。

そうして多業種多企業を比較することで強み分析の落とし穴に気づくことができました。

「自社の強み弱みの理解に疑問を持っている」

「効果的な戦略立案で事業を成功の軌道に乗せたい」

そんな読者に向けて、多くのビジネスパーソンが軽視してしまっている強み分析の本質を理解できる内容になっています。

この記事を読むことで、世間で広く誤解されている強み分析の落とし穴に気づくことができるだけでなく、事業を成功に導くための戦略立案ができるようになります。

 

この記事の結論

  • 『自社の強みと弱み』はどこで誰とどのように戦うか?によって捉え方が変わる
  • 経営が向かう方向性次第で活用すべき経営資源の優先度は変わる
  • 経営もマーケットインの思考で未来からの逆算が求められている

競争優位性に対する大きな勘違い

就活生でも訪問企業先で「御社の強みと弱みは何ですか?」って質問しますよね。

そう言われて、すぐに「当社の強みは、ブランド力です。」とか「顧客の数です」とか「商品力です」とか答えてませんか?

これはかなりの危険信号です。

自社の強みとしてよく挙がる回答を並べてみます。

  • 認知度
  • ブランド力土地
  • 顧客
  • データ
  • 人材
  • 著作権
  • キャラクター権利
  • 歴史と伝統
  • 資金力
  • 顧客接点
  • 営業ノウハウ
  • 組織マネジメント
  • ビジネスモデル
  • 収益性
  • ポジショニング

などでしょうか。

この「強みだ」とか「弱みだ」とかの認識は本当に正しいのか?という疑問を深掘っていきたいと思います。

社内で役員やらマネージャーやらが大集合して議論したところで、大抵の場合は経営戦略が決まることもなければ、営業活動方針も変わらない、なんてことが起きている企業は多いように感じます。

なんとなく勉強会っぽく終わってしまう。一体なぜそうなってしまうのでしょうか。

それは、強みを決める視点が未来志向ではないからです。

過去から現在に至るまでに積み上げた現時点での優位性を強みと捉えているところに大きな勘違いが潜んでいます。

これはプロダクトアウトのように現在の強みを活かして事業を展開する経営戦略を否定しているものではありません。

自社の強み弱みを定義するには決定的に『ある不足』が生じていると言いたいのです。

強みと弱みの分析が空中戦で終わってしまうワケ

結論から言います。

自社の強みと弱みを考える時には「前提条件」を揃えることがめちゃ重要なんです。

強みと弱みの議論の前に前提条件を決めておく

とても大事なので強く書かせていただきました。

どんな会社/事業を目指すのかによって、その目標に必要なリソースは違ってきます。

例えば、従業員数が多い会社。

「当社の強みは豊富な従業員数です。」って言いがちですよね。

もし、労働集約型ビジネスを目指すなら、その通り従業員数の多さは強みになるでしょう。

世の中は人手不足ですから、他社が採用難で苦しんでいる中、素早く活用できる充分な労働力があるので早期に売上規模を拡大させることができますよね。

しかし、なるべく人件費をかけないビジネスモデルを構築したいのなら、リストラもできない無能従業員を多く抱えるお荷物会社ってことになりませんか?

つまり、従業員数は対売上人件費比率の増加を引き起こす「弱み」ということになります。

もう一つ例を挙げます。

例えば、ブランド力

知名度や伝統がないと信用の問題から顧客がつかないビジネスをする時にはとても強みになる一方で、ハイリスクハイリターンな新規事業をやる上ではレピュテーションリスクが足かせになって身軽には動けません。

レピュテーションリスクとは、何か問題が起きた時に企業としての評判が失墜するリスクのことです。

例えば、「メガバンクがいの一番に仮想通貨事業に乗り出して、ハッキングで数百億円失いました。」となれば、金融市場での株価暴落は避けられないでしょう。

良くも悪くも信用を売りにせざるを得ない歴史ある大企業は特に知名度があるが故、たとえ大きなリターンが見込めそうな新規事業であっても、そうしたリスクが内在しているのであれば、なかなか手が出せません。

ここでも強みと思っていた経営資源は、やりたいことによっては『弱み』になるということがお分かりいただけたと思います。

更には「目指す先」つまり、戦うマーケットにおける競合プレイヤーの存在によっても、強みと弱みの考え方は変わってきます。

例えば、自社保有の土地をたくさん持つ小売業者が不動産事業へと転換したいとあらば、競合は大手ディベロッパーになりますし、デジタル小売を強化したいと言うならアマゾンやソフトバンクグループ、メルカリやZOZOなどのマーケットプレイスが競合となるでしょう。

すると、前者においては、小売業者の中では土地を自社で多く保有していたことが強みでしたが、大手ディベロッパーと比べたら弱みになるほど土地資産規模は見劣りしますし、後者においては、デジタルリソースが不足していることが弱みということになります。

という感じで、その会社が何を目指し、誰と戦うか?によって、自社の強みと弱みの解釈は大きく変わってしまうのです。

もうお分かりでしょうが、強みと弱みを考える時って既存事業の環境と経営状況がそのまま継続することを前提に考えるので、顕在化している強い弱みに視点を置きがちです。

しかし、強みと弱みを分析する時は、大抵の場合、経営や事業に変化や改革を起こしたいタイミング、つまり、戦略立案のための情報整理が目的ですから、まずは会社をどうしたいのか、そのためには誰と戦い、何を身に着けなければならないのか?という前提が重要になるのです。

自社の強みと弱みを理解しなければ、戦略は作れないという人の大きな誤解

こういう切り口で説明すると以下のような反論が必ず出てきます。

自社の強みと弱みが分からないのにどうやって会社の未来を決めるのか」という正論のような問いかけです。

そう思う気持ちも分からなくもありません。

自分自身に置き換えれば、「持ち前の性格や積み上げてきたスキル、考え方の価値観などと向き合う自己分析をやって、どんな職に就くかを考えなさい」と常々言われてきました。

転職活動でも同様に自己分析を通じて自分を売り込みますよね。

それを会社経営でも同じだと思うのは無理もないでしょう。

そして、この問いが正しい時もあります。

例えば、市場環境の変化量が少なく、既存事業の構造はほとんど変えず、営業レベルで戦術の変更などをする場合は、自社が保有するリソースと不足するリソースから議論をスタートさせて、資源を最大活用してやれることを考える、いわゆるプロダクトアウトに近い考え方が有効だったりします。

しかし、この変化の激しい時代において、企業の多くは大きな転換もしくは柔軟な戦略変更を求められています

そんな環境変化に対して果たしてプロダクトアウト的思考で考えられた強みと弱みは機能するのでしょうか。私は難しいと考えています。

つまり、強み弱み分析は環境認識と目指すべき方向性が優先され、補助的に考えられるべきものであると思うのです。

要点まとめ

最後にこの記事の要点をまとめます。

要点
  • 自社の経営資源の強み弱みを決めるためには前提条件が必要不可欠である
  • 前提条件とは、『市場環境の変化』と『未来軸での自社のあるべき姿』を指します
  • 変革期には「どのマーケットで勝ち抜きたいのか?」という方向性を優先すべきです

 

ぜひ皆さんも自社の経営戦略を振り返ってみて、似たような状態になってしまってはいないか?を確認してみてください。

この記事を通じて「なぜ強み弱み分析がうまく機能しないのか?」が理解できたかと思います。

是非とも戦略立案の際に参考にしていただければ幸いです。

それでは、また!!

 

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